Blismile

ダンスをもっと美しく、もっとナチュラルに。

人として健全に生きている姿

今日も和泉多摩川と江の島を巡ってのレッスン。
週末の時点では火曜は雪かも?という予報でしたが、穏やかに晴れた湘南の海は春を感じる美しい眺めでした。

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レッスンのために移動する電車の中では、いつも本を読んでいるか、何もしないでボーっとする時間を持っていますが、今、読んでいる「忘れられた日本人」という本に、こんなお話がありました。

昭和20年代位の対馬の佐須奈という小さな集落でのお婆様たちの様子が描写されていて、この方たちは現代のようなトレーニングをしていた訳ではないと思うのですが、年老いてなお、見た人がこんな風に感じる身体や動きや声を持っている。
自然と共にある暮らしの中で、きっと心と思考と行いに大きな矛盾が無く生きていると、こういう風にあれる身体を私たちは持っているはずなんだとしみじみ感じました。

「のどをしめして」といって酒を湯のみにつぐと、遠慮もしないで飲んで、それからうたい出した。いい声である。ノートを出しては気分がこわれるからと思って、ただきくだけにしたのだが、一人がうたって息がきれかかると次の人がうたう。歌舞伎芝居関係のものが多いのだが、必ず手ぶりがともなう。腰をうかし、膝で立って、上半身だけの所作が見ていてもシンから美しい。これがただの農家のばァさんとはどうしても思えない。座にいる若い男たちはばァさんたちにぼろくそにやっつけられる。この方は全くの芸なし猿だからである。きいて見ると、対馬は盆踊りの盛んなところで大てい各浦に盆踊りがあり、その中で歌舞伎の一こまもやり、盆踊りの場が民謡など身につける重要な機会の一つになっているのであるが、佐須奈ではどうしたわけか、盆踊りが早く止んだのだそうである。そういうことが年寄たちの持っているものを若いものにひきつぐ機会をすくなくさせたのであろう。
『忘れられた日本人 (岩波文庫)』(宮本 常一 著)

 

忘れられた日本人 (岩波文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

 

 

現代の生活や環境、世の中は確かにそれとは違うし、その時代や地には良い面ばかりではなく苦難ももちろんあったでしょうけれど、この本に描かれている人々の姿は、私には人としてとても健全に生きている姿の様に感じられるのです。 

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そして、この時代ですから宮本先生は文字通り身体を張ってフィールドワークしていて、古文書を写すにも徹夜で書き写すような手間暇をかけている。だからこそ聴き得たこと、感じ得たことなのだろうと思えるような記述が随所にありました。